パレティーナ (Palettina)
パレティーナは、木製の絵の具パレットにそっと命が吹き込まれて生まれた女の子。長年だれかの手に馴染んできた画材のぬくもりをまとい、真っ白なキャンバスを前に胸を高鳴らせる、そんな「描く喜び」そのものをかたちにしたような存在です。
丸みを帯びた木のからだには、やわらかな木目が静かに流れています。光を浴びてきらめく大きな緑の瞳。深い紫のベレー帽の下には、赤、黄、緑、青の絵の具が小さな宝石のように並んでいます。その小さな手に握られた魔法の筆の先は、いまにもキャンバスへ飛び出したがる色彩で、しっとりと満たされています。
美しいものを見つけると瞳を輝かせ、まだ名前のない色にさえそっと耳を澄ますパレティーナ。自分の仕事にちょっぴり誇りを持ちながらも、決して気取ることはなく、筆を前に迷っている人がいれば、「まずは描いてごらん」と優しく微笑みかけます。そして、彼女の筆がシャカシャカと軽快に走ると、いつの間にか心の曇りが晴れ、キャンバスにはじまりの一色がそっと置かれているのです。
このギャラリーで、彼女は作品を声高に語ることはしません。彼女がするのは、肖像画や静物、風景、そして幻想のあいだに細い小道をひき、似た色彩や空気、おもかげを持つ絵へとそっと手を引くこと。一枚の絵からまた次の絵へ。パレティーナは、静かにひも解かれる物語のように、あなたとアートの対話を紡いでいきます。