暗闇に立ち上る温もりの光彩 (其の25)

評論

導入 本作は、花絵の角灯籠が並ぶ都市運河の岸に、青い花柄浴衣の女性が立つ情景を描いた作品である。静かな後ろ姿は、混雑する橋、吊り提灯、商業建築、鮮やかな薄暮の空と対照をなす。縦長画面は最前の灯から遠い都市の消失点までを深く見せる。祭りの賑わいの中に個人的な間を作る作品である。 菖蒲の灯籠は一基ごとに花の位置と色が異なり、規則的な列の中にも手仕事の変化を残す。女性の赤い帯は背面で大きく結ばれ、暗い輪郭の中央に強い暖色の焦点を作る。橋上の人々は大小の黒い形として連なり、両岸を結ぶ建築を社会的な通路として見せる。左岸の吊り提灯は頭上の高い列、運河の灯籠は低い列となり、二種類の光の高さが奥行きを強める。 女性の袖は身体の横へ静かに垂れ、行き交う橋上の群衆とは異なる停止の感覚を強める。 記述 女性は右下に立ち、紺と生成りを基調に赤青の花を散らした浴衣、赤い帯、小さな髪飾りを身に着ける。その左には菖蒲を描いた四角い灯籠が濡れた岸に沿って奥へ連なり、最前の一基は大きくぼける。暗い水にも小型灯籠が浮かび、橙、白、紫の反射を落とす。中央には人影で満ちた幅広い橋が架かり、その先へ赤白の提灯と看板が高い建物の間を続く。青い雲の下には桃色の地平が残る。 分析 灯籠列は左下から橋へ強い斜線を作り、運河の縁と頭上の灯りがさらに奥の都市軸へ収束する。女性の暗い垂直像が右側を固定し、横長の橋と水面に対抗する。琥珀と赤の光はコバルトの水と空へ広がり、紫の反射が寒暖を仲介する。雲と水には透明なにじみを用い、浴衣の花、帯、灯籠枠、橋欄干は鋭く描く。近景のぼけと遠方の細点が距離を強める。 解釈と評価 静止した姿は絶え間ない公共の移動の中へ私的な観察時間を作るものと解釈できる。灯籠の花と浴衣の花は身体と祭り環境を結び付ける。非対称構図は均衡し、寒暖の色彩調和にも表現力がある。紙、布、濡れた石、水、金属、大気の距離を描き分ける技法と描写力、人物を灯の列の終点に置く独創性が評価できる。 結論 第一印象では光る灯籠列が主題に見えるが、見続けると、女性の静かな注視へ注意が集まる。忙しい運河の祭りを、個人と都市の測られた出会いへ変えた作品である。

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